節分のいわしとヒイラギ(柊鰯)の飾り方!いつまで飾ればいいの?
2017/11/17
お正月が終わったと思ったら「鬼は外~、福は内~♪」とスーパーにはもう豆や鬼のお面が並んでいます。
節分といえば豆まきや恵方巻を思い浮かべますが、いわしとヒイラギを飾る風習もあるってご存知ですか?
柊鰯(ヒイラギいわし)というのですが、知らない方は「いわし?」「ヒイラギ?」と節分にはなかなか結び付かないのではないでしょうか。
私も、数年前まで知りませんでした。
そこで今回は「柊鰯」の飾り方とはどのようなものなの?という疑問にお答えしていきます!
目次
柊鰯の飾り方とは?
まず、見たことのない人には「柊鰯」とはなんだろうということですよね?
写真をご覧いただくとわかるように、その名の通りヒイラギの枝にいわしの頭がついたものです。
いわしの頭は焼いてあり、それをヒイラギの枝に刺したものが「柊鰯」です。
画像の状態で売られていることもあるのですが、いわしの頭を焼くことには意味があるんです。
それは後ほどご紹介するとして、まずは基本の作り方と飾り方です。
1.用意する物
柊鰯という名前どおり
- ヒイラギの小枝
- いわしの頭
を用意します。
いわしは塩焼きにして、あたまを残して身は食べてしまいましょう。
捨ててしまうのはもったいないですからね。
節分にいわしを食べる風習のある地域もあります。
ヒイラギは花屋さんで購入できますし、節分が近づくとスーパーなどにもおいてあることがあります。
2.いわしの頭の刺し方
ヒイラギの小枝にいわしの頭を固定するには、さまざまなやり方があります。
特に決まっているわけではないので、落ちないように刺せれば大丈夫です。
よく見られるのは
- いわしのエラから目にかけて刺す
- めざしのように両目に刺す
- エラから口に向かって刺す
などです。
この動画が指し方の参考になると思います。
見てみるとわかると思いますが、非常に簡単ですよね!
3.飾り方
飾り方も絶対コレという決まりはなく、玄関の外に飾ればいいので、
- 玄関にたてかける
- ひもでつるす
- 格子戸にさす
などが一般的です。
集合住宅などでは、玄関の外ではなく中に飾る家庭もあります。
柊鰯を見かけなくなったというのは、もしかしたら住宅事情などから玄関の中に飾るようになったからなのかもしれませんね。
節分に飾る「柊鰯」の由来とは?
柊鰯のはじまりは平安時代と言われています。
約1000年以上も続いているこの風習は、古い記録では「土佐日記」に出てくるのが最初で
- お正月に飾った注連縄(しめなわ)にヒイラギの枝と「なよし(ぼら)」の頭を刺していた
という内容が書かれています。
伊勢神宮で売られている注連縄には今でもヒイラギの小枝がさしてあります。
長いこと風習を受け継いでいるというのは、さすが伊勢神宮という感じですよね。
そして、はじめは「いわし」ではなく「ぼら」だったんですね。
「ぼら」は成長とともに名前が変わる出世魚なので、縁起がいいといって飾られていました。
いつから「ぼら」がいわしの頭に変わったのかはっきりとはわかっていないようですが、今の「柊鰯」を飾るという風習のはじまりと考えていいと思います。
明治時代に出版された書物には「いわしのかしら」というのが出てくるので、少なくとも明治のころはもうすでに「ぼら」ではなく「いわし」になっていたみたいですね。
昔は季節の変わり目には厄や災い(鬼)がおこると考えられていて、鬼を追い払うために厄払いの行事がおこなわれていました。
その季節の変わり目を「節分」といって、もともと宮中行事だったのですが江戸時代になってから庶民の間でもその風習が広まり「柊鰯」も今まで続いています。
では、柊鰯を節分に飾ることにはどんな意味があるのでしょうか。
柊鰯を飾る意味とは?
もともと「門守(かどもり)」という風習が日本にはあって、よく知られているものだと
- 神社の護符
- 八坂神社の粽(ちまき)
- 金沢ひがし茶屋街のとうもろこし
など、ご利益のあるものを家の門口につけて、厄が入ってこないように守り神にしていました。
「柊鰯」もこの門守のひとつです。
柊鰯は、節分に魔除けの意味をもって飾られます。
昔から
- においの強いもの
- 先のとがったもの
などが厄払いに使われていました。
節分に鬼がくると考えられていたので、その鬼が怖がるものとして
- 焼いたいわしの頭
- とがった葉をもつヒイラギ
を門口に飾るようになったのです。
いわしの頭を焼くのは、その時に出る煙と臭いで鬼が近寄れず、門口から入ろうとした時にヒイラギのとがった葉で目をつつかれるため、嫌がって逃げるからということなのです。
現在では、セットで売られていることもありますが、焼くことで鬼を遠ざけるということを考えると、自分で柊鰯を作った方がいいわけです。
他にもいろいろな「柊鰯」があって
- 静岡の一部地域では、いわしの頭ではなくラッキョウやニンニクを使っている
- いわしの頭ではなく尻尾を飾る地域がある
- 東京近郊ではさらに豆がらを加える
など、もとは同じ風習だったと思われるのものが少しずつ変化していったのですね。
ラッキョウやニンニクというのも、臭いが強いものを代わりに使うようになったのでしょう。
人間だったらおいしそうに感じる臭いですが、鬼は嫌いなのでしょうか。
鬼の対処法、意外と簡単ですね…(笑)
「いわしの頭も信心から 」は柊鰯からきている!
柊鰯のことを知らなかった私でも、このことわざは聞いたことがありました。
「いわしの頭のようなつまらないものでも、信じている人にはありがたく見えてくる」
という意味ですね。
他の人から見たらちょっとおかしいと思われるものを頑固に信じている人を、皮肉るような感じで使われます。
魔除けに使われるほどのいわしの頭、つまらないもの扱いされるというのも不思議な話ですね!
柊鰯を飾る地域はどこ?
柊鰯を飾る風習は日本各地に広く見られます。
ただ、今では飾っているのをあまり見かけることがなくなりました。
私の住んでいるあたりでも昔は飾っていたと聞きますが、自分が子どもの頃でも見た記憶がないので、ずいぶん前から飾られなくなっていたのかなと思います。
それでも古い風習が大事にされていて、
- 東北地方
青森、福島 - 関東地方
群馬、栃木、東京、埼玉、千葉 - 中部地方
愛知、静岡、岐阜 - 近畿地方
京都、大阪、奈良 - 中国地方
広島、岡山
などの地域では現在も柊鰯が確認されています。
西日本では「柊鰯」を
- やいかがし
- やっかがし
- やいくさし
- やきさし
などとも呼んでいて、特に奈良の街を散策すると節分の時期は柊鰯をよく見かけます。
こうしてみると、北海道や九州地方では柊鰯の風習が見られず、本州のみに広く残っています。
西日本では呼び名もいろいろあるし、節分にいわしを食べる習慣があることから年間行事としてきちんと根付いている感じがしますね。
平安時代からの風習ということを考えると、当時の都の場所からいっても納得です。
柊鰯を飾る期間は?処分の仕方は?
柊鰯は節分に飾るのですが、正確にはいつからいつまで飾るのでしょうか。
節分から1年間飾るという地域もありましたが、一般的には
- 節分の日から2月いっぱいまで
というところが多いです。
飾る期間にも、やはり昔からの風習にありがちな地域差はあって、
- 1月15日(小正月)から2月4日(立春)まで
- ひな祭りまで
- 節分の日だけ(翌日はずす)
- 翌年の節分まで1年(おもに埼玉県)
とさまざまです。
なかには、「いわしの頭をネコが取っていくまで」というところも!
そういう地域は、ネコがとりやすいように低いところに飾るのでしょうか。
では柊鰯を飾ったあとは、どのようにすればいいのでしょうか。
魔除けや厄除けとして飾ったものを、そのまま捨てるのも気が引けますよね?
処分の仕方はいくつかありますのでご紹介します。
1.神社でお炊き上げ
厄除けに使ったものなので神社に持って行くのが一番安心ですが、柊鰯のお炊き上げをやっていない神社もあります。
持って行く前に問い合わせしてみてくださいね。
2.燃やして灰にし、玄関の前に盛る
盛り塩と同じ感覚なのでしょうか。
風で飛び散ることも考えると現在ではあまりおすすめできませんが、こういう風習も残っています。
3.玄関先に埋める
玄関先が土のままというお宅しかできませんが、門守として飾ったものを土に返すという考え方は自然な感じがしますよね。
4.塩で清めて包んで捨てる
一番手軽で一般的な処分の仕方です。
塩をかけて清め、半紙につつんでゴミに出します。
感謝の気持ちをもっておこなえば、より良いですね!
節分のヒイラギと鰯、飾り方のまとめ
節分の日の厄除け「柊鰯」について紹介してきました。
平安時代から1000年以上も続く風習ですが、最近ではわからないという人も多くなってきました。
柊鰯の飾り方は、節分の日に
- 焼いたいわしの頭をヒイラギにさしたものを玄関の外に飾る
というのが一般的です。
地方によって飾り方も違いますので、今年の節分には近所を散策して柊鰯が飾られていないか見てみるのも楽しいかもしれません。
その際は、鬼と間違われないように気をつけましょう(笑)
実際に飾っているのを見れば、住んでいるあたりではどんな飾り方なのかを知ることができると思うので、次の節分に飾ってみるのもいいかも。
ヒイラギといわしで簡単に作れる厄除け、柊鰯を豆まきや恵方巻きと合わせて節分の恒例にしてみませんか?
伝統行事を楽しんで、福をたくさん呼びこみましょう!
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